遺伝情報発現制御の実行プログラムを理解することは、様々な生命現象の分子メカニズムを解明するために必要です。特に転写活性化・不活性化のperformerである転写調節因子群の機能は、発生・分化、内分泌、脳機能などの高次生命現象のみならず、癌、生活習慣病などの病態にも関わってきます。当研究では、このような概念を根幹に据えて、組織あるいは時期特異的に転写活性を制御する因子、シグナル伝達分子の作用メカニズムなどに関する研究を行っています。

研究テーマ

白血病の治療

ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)は日本で発見された世界最初のヒトレトロウイルスであり、日本に110万人の感染者(キャリア)がおり南西九州地方出身者にキャリアが多い。長期潜伏後成人T細胞白血病(ATL)を発症させる事から、ウイルス側の要因のみならず宿主における免疫低下がATL発症に関与する事が推察される。ATL患者の殆どは治療抵抗性を示し、急性型は骨髄移植等の治療法を用いても殆どの患者が発病後1年以内に死亡し予後不良である。有効な治療法がない現状において、ATL細胞の増殖抑制する薬剤や細胞性免疫の賦活化による感染及び腫瘍細胞の排除に働くATL発症の予防・治療法の確立が焦眉の急であると考えられる。

脳の性分化に関与するアロマターゼ遺伝子発現プログラムの解析

性ホルモンの一種であるエストロゲンはアロマターゼにより生合成される。本酵素は性腺や脳に存在しており、特に脳内アロマターゼの重要な機能のひとつは、周生期に精巣より分泌されたアンドロゲンを、脳内でエストロゲンに変換することである。この時期にエストロゲンが働くことにより、脳の神経回路は不可逆的に雄型に構築される。一方、アロマターゼの発現も周生期に脳内で増加し、その発現調節プログラムは脳の性分化と深く関わっていると考えられている。このように胎生期から新生仔期にかけて構築される性特異的な中枢神経ネットワークの形成プロセスを理解するためには、脳におけるアロマターゼの発現メカニズムを解明することが重要である。

スタッフ紹介

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教 授 本田伸一郎 [博士 (理学)] sihonda ※ @fukuoka-u.ac.jp
准教授 小迫知弘 [博士 (医学)] kozako ※ @fukuoka-u.ac.jp
助 教 相川晃慶 aikawa ※ @fukuoka-u.ac.jp